育成の流れ
メダカの飼い方とメダカ水槽
日本の気候や風土に適応しているため、実は屋外でも飼育することが可能です。こちらのページでは、メダカを飼うために必要なもの、メダカを飼うための準備やエサ、メダカを長生きさせる方法などメダカの飼育方法全般についてご紹介します。
メダカの飼い方とは
メダカは3つのステップでアクアリウムがはじめての方でも飼育できます。
①.メダカ水槽に必要なもの
メダカは室内で飼う場合と屋外で飼う場合では、必要なものに違いがあります。
室内のメダカ水槽と、屋外のメダカ水槽の違いや、必要なアイテムをご紹介します。
【室内】メダカ水槽に必要なもの
メダカの数に合った大きさの水槽と、エアポンプ、ろ過フィルターなどの機器を使います。
メダカは飼育開始時は小さくても、成長すると15cmほどになることもある魚です。小型の水槽設備で飼育を始めると、後々になって買い直す必要がでてきます。あらかじめ飼育するメダカの数や成長した時のサイズを念頭に置いてアイテムを揃えましょう。
人に近寄ってくるなど、メダカは懐くようなしぐさを見せる観賞魚です。室内での飼育では、水槽の側面など様々な角度からメダカの様子・行動を観察できるので、メダカのかわいらしさをより感じることができます。
●必要なもの1:水槽
水量の目安として1匹あたり10リットルが確保できるサイズを選びましょう。 メダカ鉢では多量の飼育水を確保できないため、大きなタイプでも1匹が限度です。 終生飼育には、45cm以上の水槽を用意します。
●必要なもの2:ろ過フィルター・エアーポンプなどの機器
メダカはよく食べフンをたくさんします。 飼育水が汚れやすいので、十分なパワーのろ過フィルターで飼育するのがおすすめです。 酸素が多いほど成長が良くいことと、強い水流が苦手な品種もいるため、ろ過フィルターは『上部式』や『投げ込み式』が向いています。
●必要なもの3:砂利、水草
砂利を水槽の底に敷くことで、水槽のイメージを変えることができます。 水草は、見た目が良くなるだけではなく水質浄化サイクルを保つ助けとなります。 しかし、水草の中にはメダカが好んで食べる種類もあるので、おやつになってしまう可能性がある点にはご注意ください。
【室外】メダカ水槽に必要なもの
屋外用の耐気候性が高い飼育容器を使い飼育します。
屋外でのメダカ飼育では、屋外用の飼育容器を用意しましょう。通常の室内飼育用の水槽は、直射日光(紫外線)に長期間さらされると劣化が早まります。水漏れなどトラブルにつながるケースがあるためです。ビオトープのように底砂や水草を入れることもできますが、メダカが成長して水草を食べたり根を掘り起こしたりするようになると、ビオトープを維持することが難しくなります。
そのため、底砂や水草をいれない『ベアタンク』も屋外での飼育方法のなかで人気があります。
●必要なもの1:飼育容器
ビオトープにする場合は睡蓮鉢が、底砂や水草を入れずにベアタンク飼育をする場合は、大き目のトロ舟がおすすめです。 トロ舟は紫外線に強いわけではありませんが劣化や不調がわかりやすく、軽量で交換が簡単です。 さらに十分な水量を確保できるので、屋外飼育の容器として人気です。 長期間ではなく一時的な隔離などでは、発泡スチロール箱が便利です。
●必要なもの2:エアーポンプと投げ込み式フィルター
メダカは水を汚しやすく、多くの酸素を必要とする魚なので、屋外飼育でもエアーポンプと投げ込み式フィルターを使用した飼育がおすすめです。 エアーポンプが風雨にさらされないように、なるべく建物に寄せて設置し、箱などで保護しながら使用しましょう。
●必要なもの3:天候・天敵対策
強い日差しや急な大雨、鳥や猫のような天敵からメダカを守るためにすだれや金網などをかけるのがおすすめです。 積雪や豪雨対策として、ポリカーボネートや波板で屋根を作る方法があります。
②.メダカ水槽の設置方法
メダカを飼うために必要なものを用意出来たら、次は水槽・飼育容器を設置してみましょう。
室内で飼うのか、屋外で飼うのかで必要なものが異なるように、設置方法も変わります。
ここでは室内メダカ水槽の設置方法と、屋外メダカ水槽の設置方法を分けてご紹介します
【室内】メダカ水槽の設置方法
室内メダカ水槽は、水質を綺麗に保つためにろ過フィルターやエアーポンプなどを使い、メダカが快適に過ごせる環境を作ります。水槽の中に水・砂利(底砂)、機器などを全て入れるとかなりの重量になるので、十分な耐荷重がある台や、水槽サイズにぴったりあった水槽台に設置しましょう。
4ステップ!室内メダカ水槽の設置方法
1. 下準備
砂利や底砂は、あらかじめよく水洗いをして濁りをとりましょう。飼育にはカルキ(塩素)の含まれていない飼育水が必要です。日光にさらしたり、カルキ抜き剤などを使い、メダカに有害な成分を中和します。
2. 水槽を設置
凸凹や傾きがない平行な台に、水槽を設置します。傾きがあると重量のバランスも傾き水槽に負荷がかかり、経年劣化を早める原因になるので要注意です。台の接地面が傾斜していると、重量が偏るので事前に確認しておきましょう。
3. 底砂、機器、水草を設置
(1)で洗った底砂を水槽の中に敷き、水草を植えます。また、ろ過フィルター・エアーポンプなどの機材もセッティングしましょう。※水草はメダカに食べられたり掘り返されることが多いため、かじりにくい形状の種類がおすすめです。
4. 水入れ&メダカを投入
最後にカルキ抜きした飼育水をいれ、『水合わせ』をしてからメダカを入れます。『水合わせ』とは、魚が急な環境の変化に馴染むように慣れさせる作業です。まずは購入してきた時の袋ごと水槽に入れて20分。次に袋に水槽の飼育水を少し混ぜて10分、また加えて10分待つという作業を3回ほど繰り返してください。最後にメダカだけを掬い、水槽の中に入れます。残った袋の水は水槽にいれずに、排水して完了です。
【室外】メダカ水槽の設置方法
屋外では、トロ舟などで『ベアタンク飼育』することが多いです。ベアタンクではメダカを専門的に飼育する方法なので、見た目はシンプルです。そのため、体長が小さな頃は水草や水生植物を楽しめる『ビオトープ』で飼育をすることもあります。直射日光が当たる場所では水温が変化しやすいため、総水量が少ない場合は、日陰で風通しの良い場所に設置しましょう。設置後3日~5日は、生体を入れずに環境が安定するのを待ちます。最初は1~2匹程度に控え、環境が安定してから匹数を徐々に増やしていきましょう。
屋外メダカ水槽の設置方法簡単4ステップ
1. 下準備
メダカのためにカルキを抜いた飼育水を用意しましょう。カルキ抜き剤を使用するほか、汲み置きした水を6時間(季節により変動)ほど太陽光にさらすことでカルキを抜くことができます。
2. 飼育容器を設置
程よく日差しが入る、風通しの良い場所に飼育容器を設置して飼育水をいれましょう。ベアタンクで飼育する場合はエアポンプ(ブロワー)やろ過フィルターなどの機器を配置します。
3. 設置後3~5日たったらメダカを水合わせする
機材や容器に不具合が無いかを確認できたら、『水合わせ』をしてメダカを入れます。最初の1ヵ月は、こまめな水換えを心掛けて管理します。屋外飼育では定期的に大幅な換水を行いますので、水換え用のクリーナーポンプや排水ポンプは必ず用意しましょう。
4. メダカ飼育を開始&天候対策も
日差しによる水温変化や、雨天時の対策としてすだれをかけるなどの天候対策も忘れずに行います。屋外飼育を開始して、しばらく経つと飼育水がグリーンウォーターに変化します。濃くなりすぎないように、定期的な換水で維持していきましょう。
室内水槽設置・屋外水槽設置の共通事項
メダカが暮らしやすい環境づくりが大切
水草、機器の配置や位置のことを水槽レイアウトと言います。
この水槽レイアウトは水槽の見た目を決めるだけではなく、メダカにとって住みやすい環境づくりでもあります。
メダカが泳ぎにくいほど水草を植えたり、機器の配置が偏って水流がとどかない淀んだ箇所ができてしまっては、メダカが住みにくい水槽になってしまいます。
また、水槽のサイズ=水の量にたいして、メダカの量が多すぎると過密といわれる状態になり、水質が悪化するスピードが早くなりメダカが病気になりやすくなってしまいます。これらのトラブルを防ぐためにも、メダカが住みやすい水槽にして、こまめにメダカや水槽を観察し、適切なお世話をこころがけましょう。
③.メダカの日々のお世話
水槽を設置し終わったら、メダカのお世話をしましょう。
メダカのお世話とは、具体的にはメダカ水槽を定期的に掃除してメダカの住環境を整えることと、毎日のエサやりです。
快適な水槽でおいしいエサを食べることで、メダカはのびのびと元気に暮らすことができます。
この項目ではメダカ水槽の掃除方法やポイント、エサについてご紹介します。
メダカ水槽の掃除方法
メダカは他の魚と比べて食欲旺盛、排泄物が多く水槽が汚れるスピードが早いといわれています。そのため、1~2週間に1度、水換えと掃除をおこないましょう。水槽の掃除は難し作業をするわけではなく、工程自体はシンプルです。
1.水槽の汚れを落とす
水槽内部の側面や角についた汚れを取ります。
2.汚れを取り除く
落とした汚れや、底にたまった排泄物などを取り除く。
3.水換えをする
汚れを取り除くときに水も一緒に吸出し、新しい飼育水を追加する。入れかえる水量は全体の1/3~1/5程度におさめる。
水槽の掃除や水換えは頻繁におこなうとメダカへ負担を掛けてしまいますが、少ないと水質が悪化してコケが生えたり、メダカが病気にかかりやすくなってしまいます。
定期的に掃除をすることも大切ですが、日ごろから水槽とメダカの状態をみて掃除するタイミングを決めるとよりよいメダカ水槽になります。
メダカのエサの種類
浮上性飼料
水に浮くタイプの人工飼料です。栄養素や消化を助ける生菌が配合された製品が人気です。和金タイプのメダカにおすすめ。
沈下性飼料
水中に沈むタイプの人工飼料で、琉金やらんちゅうなどの丸形メダカにとって、食べやすいエサです。体型を大きくするため栄養しっかりめな製品が多いです。栄養素や消化を助ける生菌が配合された製品が人気です。和金タイプのメダカにおすすめ。
生餌
赤虫を加工(冷凍、乾燥など)させたエサです。どのメダカも赤虫や生餌が大好きなので、食欲が落ちている時やおやつにぴったりです
浮上性の人工飼料はエサが浮くため食べ残しをみつけやすく、エサのあげすぎを防ぐことができます。沈下性のエサは水面までエサを取りに行く必要が無いのでピンポンパールなど泳ぎが下手なメダカにも食べやすいという特徴があります。メジャーなのは浮上性のエサですが、メダカの種類や状態によって沈下性を与えましょう。また、メダカの食欲が落ちている時は生餌がおすすめです。
メダカのエサのやり方
メダカの食べ具合を確認しながらあげましょう
1度にあたえる量は、メダカの大きさや種類にもよりますが、1分程度で食べきれる量が適切です。一日に1~2回与えますが、餌のパッケージに書かれている以上の量が与えないようにしましょう。メダカがエサに食いつくからと言って、たくさん与えていては健康によくありません。エサをたくさん与えると大きく育ちますが、与えすぎると内臓に負担をかけてしまい消化不良を起こします。一度にたくさんやるのではなく数回に分けて、腹七分目になるように量を調節しましょう。
④.病気対策とメダカを長生きさせる方法
「魚の病気」はアクアリウム未経験の方はあまり聞き馴染みが無いかもしれません。しかし、消化不良を起こす、腹が膨れてしまう、上手く泳げなくなる、鱗がはがれてしまうなど、魚特有の病気というものがあります。魚の病気を知ることは、メダカの健康を維持する上で欠かせないことです。次の項目では、病気を防ぎ、また元気に長生きできる環境を整える方法をご紹介します
メダカがかかりやすい病気とは
病気は、見た目ですぐに判別できるものと解りにくいものがあり、よく観察しないと気づけない不調もあります。エサをやるタイミングなどで、メダカの様子や行動におかしな点が無いかをよく確認するようにしましょう。代表的な6つの病気と、その症状、対処方法をご紹介します。
①. 白点病
【症状】体表に白い点が複数ある 【原因】寄生虫『ウオノカイセンチュウ』
②. 尾腐れ病
【症状】ヒレが白く濁ったりボロボロになる、【原因】カラムナリス菌
③. 水カビ病
【症状】体に綿のような白いものがつく、【原因】水カビ
④. 消化不良(餌病)
【症状】動かない・フンの異常、【原因】エサのやりすぎ・ストレス
⑤. エラ病
【症状】エラの動きや泳ぎ方が早い・遅い、【原因】カラムナリス菌・または寄生虫
⑥. 赤斑病
【症状】体表やヒレの付け根が赤くなる・赤い斑点がある、【原因】運動性エロモナス菌
メダカが病気になった時の対処方法・治療法
水換え
赤斑病や尾ぐされ病などは、初期段階であれば水換えをおこなって様子を見ることで治ることがあります。むしろ、水換えの頻度が少なかったり、水換えを怠っていると様々な病気を引き起こします。症状が重く、メダカの体がとても弱っている時は水換えは逆に負荷をかけることになるので、メダカの様子や水槽内の状態をよく観察して水換えをおこなってください。
塩水浴
メダカが病気になったとき、良く行われるのが『塩水浴』という養生方法です。塩分でメダカの負担を軽くし、自己治癒力を高めます。水道水のカルキを中和し、水量に対して0.5%の濃度になるように塩を溶かした水で1週間ほど管理します。塩水浴はバケツや別の隔離用水槽・容器で行い、毎日1/2以上~全量の水換えを行いましょう。※にがりや調味料が添加されているタイプの塩は避けてください。
薬浴
人間や動物と同じように、魚にも治療薬があります。尾ぐされ病や白点病など、症状ごとの魚用薬が市販されていますので、初期段階を超えて症状が重い場合は、魚用薬を使った薬浴を試してみてください。ただし、間違った薬をつかったり、用法を守らないと逆効果です。また水草や、エビなどの水質変化に敏感な生体と混泳している場合は病気のメダカのみを別の水槽に移したり、水草へ影響が出ないタイプの魚用薬を選ぶ必要があります。初めてで不安、という方は、初心者の方でも使いやすい魚用薬のまとめ・解説コラムをご覧ください。
殺菌灯
殺菌灯とは、病気の原因となる菌やカビを紫外線で殺菌・抑制する特別な機器で、外部フィルターや水中ポンプ等と合わせて使用します。少し高価ですが病気を予防することもでき、コケの発生も抑制することができます。水換えをしていてもメダカが病気に繰り返しかかってしまう場合など、病気でお困りの時は導入してみてください。
メダカを長生きさせる方法とは
メダカの寿命は10~15年と言われていますが、これは上手に飼育した場合の寿命です。「病気に気をつける」という意識以外にも、メダカを健康に長生きさせるためには、メダカが快適に暮らせる環境づくりが何よりも大切なポイントと言えます。以下のポイントを押さえて、メダカが長生きできる環境を整えましょう。
日ごろから観察・確認する
体に白い斑点がでてきた、ふらふらと泳いでいる、背ビレをたたんで底の方にいる、フンの色や長さがいつもと違うなど、ちょっとした変化が病気の予兆や初期症状であることが多いです。日ごろからメダカの様子を気にかけ、異変に気付いてあげることが大切です。
エサをあげすぎない
エサをあげすぎると消化機能に負担をかけ、ストレスがかかってしまいます。弱っている時は菌への抵抗力も落ちるので、ストレスのない健康状態を保ってあげましょう。フンが長い・空気が入っている・浮くなど、フンの状態がおかしい場合は、3日ほど絶食を行うと効果的です。
水温・水質管理
水温の変化や水質の悪化はストレスにつながります。水温計ですぐに水温を確認できる状態にしたり、適切なペースの水換えを心がけましょう。水質をはかるアクアリウム用品別窓で開きますも持っておくと安心です。